■認知バイアスと生成AI — DXにおける生成AIについて —
私たちは日々、膨大な情報の中で意思決定を行っています。
しかし、その判断は常に合理的とは限りません。
人間の思考には無意識の偏り、すなわち認知バイアスが存在します。
「自分の考えに合う情報だけを集めてしまう確証バイアス」や、「最初の印象に引きずられるアンカリング効果」はその典型例で、
採用、投資、営業戦略などビジネスのあらゆる場面に影響を及ぼします。
一方、AIは膨大なデータをもとに判断を行うため、「人間よりも公平で客観的」と捉えられがちです。
しかし、AIが学習するデータは人間社会の記録であり、そこに偏りが含まれていれば、AIもまたそれを反映してしまいます。
これは生成AIのハルシネーションとは別のものです。
過去には、採用支援AIが特定の性別や年齢層を不利に評価した事例もあり、AIなら公平という考えは危ういモノとなっています。
こうした課題に対し、Microsoft が掲げる「責任あるAI(Responsible AI)」は重要な示唆を与えてくれます。
同社はAIに関する六つの原則 ― 公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、包括性、透明性、説明責任 ― を明確に定義し、
AIが人間のバイアスを増幅しないよう技術面・運用面の両方からガバナンスを強化しています。
特に「透明性と説明責任」は、AIの判断プロセスを理解し、人間が最終的な意思決定者であることを強調しています。
DXが進む現在、私たちが認識すべき重要なポイントは、「AIも人間もバイアスから完全には自由ではない」という事実です。
AIの出した結果を鵜呑みにするのではなく、その背景を理解し、必要に応じて修正・補正するリテラシーが求められます。
人間がAIを“監督”し、倫理と判断力をもって活用することが必須だと言えます。
認知バイアスの理解は、AIを正しく使いこなす上で必要です。
人間の思考の癖を知り、AIの特性と限界を理解し、双方のバイアスを相互補完することで、はじめてDXは企業の競争力へとつながります。
テクノロジーが高度化しても、最後に問われるのは人の判断力と責任感です。
DXは効率化の手段であると同時に、私たちの思考と組織文化を成長させる取り組みなのです。
☎ 052-688-0521 株式会社マイクロリンク 営業部