2025.06.30

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生成AIの進化と企業活用の現在地(2025年6月時点)

■生成AIの進化と企業活用の現在地(2025年6月時点)

生成AIの分野では、わずか3ヶ月も経てば状況が大きく変化します。
本稿では、2025年6月現在の最新状況について整理しておきます。

 

【個人利用:生成AIはパーソナルアシスタントに】

企業で生成AIを導入する際、まず想定されるのが「個人の業務アシスタント」としての利用です。
たとえば、ChatGPT、Gemini、Claude、Grokなどの大手生成AI(LLM)を契約して、従業員が業務支援に活用するケースです。

このような場合、業務上の機密情報を安心して入力できる環境が求められるため、セキュリティが強化された有料プランを契約するのが一般的です。
原則として、利用者ごとに契約が必要です。

生成AIとの対話を通じて、調査・文書作成・要約・予測などが瞬時に行えるため、生産性は飛躍的に向上します。
以前は、あらかじめ学習済みの情報しか答えられませんでしたが、現在では多くのAIがWeb検索機能を標準搭載し、より柔軟な対応が可能になっています。

一度でも生成AIを活用した業務を体験すると、それがない状態には戻れないという声も少なくありません。
創造的な業務では多少の誤回答(ハルシネーション)はあまり問題とされないこともありますが、確認・検証のプロセスを設けることは不可欠です。

 

【全社利用:チャットボットとしての生成AI】

一方、生成AIを個人利用ではなく、全社的な用途で導入するケースも増えています。
たとえば、総務部への問い合わせ対応、顧客からの製品サポートなど、定型的な問合せ業務の自動化に生成AIを活用するケースです。

この場合、誤回答(ハルシネーション)は許されません。正確な回答を提供するために活用されるのが「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」という技術です。
これは、生成AIが事前に用意された社内情報(ナレッジベース)だけを参照して回答を生成する手法です。

数年前は、RAGを導入するには高額なAI検索システムの構築が必要で、多くの企業にとってハードルの高いものでした。
しかし現在では、RAGを簡易に実装できるツールが登場し、コストを抑えつつ導入できる環境が整ってきました。

 

【進化するCopilot Studioとマルチエージェント】

こうした流れの中で、注目されているのがMicrosoft Copilot Studioの進化です。

Copilot Studioはもともと、チャットボットを簡単に作成できるツールとして提供されていました。
ユーザーからの質問に対して生成AIで補完回答を行う設計で、その際にRAGを組み合わせることが可能でした。

そして、ここ数ヶ月での大きな進化として、**複数のAIエージェントを連携させた「マルチエージェント構成」**が可能となりました。
生成AIがこれらエージェントをオーケストレーション(統括・調整)し、タスクごとに最適なエージェントが動作する仕組みです。
各エージェントにはRAG設定が可能なため、精度の高い回答生成が期待されます。

これは、AIが自律的にタスクをこなす世界への第一歩であり、Copilot Studioはその開発・実行環境を標準で備えるようになったという点で、
企業活用にとって画期的な変化と言えます。

 

☎ 052-688-0521 株式会社マイクロリンク 営業部