■マルチエージェントと生成AIを理解するための視点
生成AIのマルチエージェントとは?
前回もご紹介したように、生成AIの分野では、「3ヶ月で1年分以上の情報が出る」
と言われるほど進化のスピードが速く、新しい技術やサービスが次々に登場しています。
その一方で古いしくみはすぐに使われなくなっていきます。
そのため生成AIを効率的に活用するためには、使い方や考え方、そして自分の知識そのものも定期的にアップデートしていくことが重要です。
今回のコラムでは、特に注目したい「マルチエージェント」という仕組みと、それを支える生成AIの基本機能の進化についてご紹介します。
マルチエージェントとは、複数の生成AIにそれぞれ異なる得意分野を持たせ、連携させてより高度な回答や提案を実現する仕組みです。
たとえば
・あるエージェントは、企業の専門知識(ナレッジ)を担当
・別のエージェントは、社内の売上データや生産データにアクセス可能
・さらに別のエージェントは、外部のサービスと連携して処理を実行
こうしたエージェントたちを、“指揮者”のような生成AIエージェントがまとめて管理し、
課題に応じて順番に、または並行して動かすことで(これを「オーケストレーション」と呼びます)、より正確でスムーズな対応が可能になります。
このようなマルチエージェントの仕組みは、最近ではノーコード(プログラミング不要)で構築することも可能になってきており、
前回ご紹介した Copilot Studio もその代表例のひとつです。
生成AIの進化は2つの視点から
生成AIの活用や進化を考えるうえでは、大きく次の2つの観点に分けて捉えることが重要です。
① 汎用型の生成AI(LLM:大規模言語モデル)
これはGPT-4o、Gemini、Claude、Grokなど、OpenAIやGoogleといった企業(生成AIベンダー)が開発している生成AI(LLM)そのものを指します。
これらのモデルは幅広い分野に対応可能な「汎用的な頭脳」のような存在です。
② 生成AI(LLM)を活用したツール、アプリケーション、システム
生成AIアプリケーションは、企業ごとの業務や目的に合わせて汎用AIを利用したり、用途別のアプリケーションに生成AIを組み込んだりしたものです。
たとえば、
・業務特化型のチャットボット
・M365 Copilotのように、Officeアプリ内で動作するAIアシスタント
・発表スライド作成などに特化した生成AIを活用したツール
この「① 汎用AI」と「② 活用ツール・システム」は別物ですが、②は①をベースにして構築されており、 ①の進化が②の性能に大きく影響します。
また、どのLLM(汎用AI)を使っているかも成果に大きな差を生む要素になります。
一方で、①の汎用AIだけでは、企業固有のナレッジや業務データなど、個別のニーズには十分に対応できません。
だからこそ、②のような“用途に特化した仕組み”が必要になるのです。
これからの生成AI活用では、「何ができるか」だけでなく、「どのような構造で」「どう組み合わせるか」を理解したうえで、
柔軟に設計・運用していくことがますます重要になってきます。
マルチエージェントから目を離せません。
☎ 052-688-0521 株式会社マイクロリンク 営業部